7月1日(水)にWEEK神山の開所式が行われました。
私(谷脇)も式に参加させていただいたのですが、一番印象的だったのが南さんのスピーチ。
南さんはWEEK神山のオーナーで、今回食堂棟に生まれ変わった家(旧南邸)の持ち主です。
南さんのスピーチ(抜粋)
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今日の良き日を一番喜んでいるのは、今は亡き私の父親ではないだろうかとしみじみと思いを廻らしています。
旧南邸(母屋)は戦後間もない昭和25年、私が数え年で4歳の時に建てられた建物で、今年築65年になります。
WEEK神山のシンボルツリーにもなっているメタセコイヤは、私が小学生のときに父が「この木が大きくなるように、お前も立派な男になれよ」と植えてくれたものです。
この母屋は「すべてを我が家の山林より切り出した材木を使って建てた」と、父がよく自慢してたことを覚えています。
しかし息子の私は、ふるさと神山を離れ徳島市内に住むことになりました。
そして、神山というこの田舎町にも過疎化の波が押し寄せてきたのです。
その後、私の子供たち3人も徳島から東京・横浜方面へ出て行ってしまいました。
神山に残した父の自慢のこの家を、この先どうするのかが私の課題となっていました。
そんな折、神山はサテライトオフィスの町、時代の最先端をいく町として一躍有名になりました。
神山町を訪れる人が増えるにつれ、宿泊施設の必要性が高まってきました。
そして、ここサテライト・オフィス・コンプレックスに近い我が家に白羽の矢が立ったのでした。
提案を受けてから家族で考えに考えた末、「神山町の新しい時代を開くためにお役に立てるのなら、それもこの家の活かし方の一つであろう」との結論にいたり、提供させていただきました。
私はこの施設の運営には直接関わることはありませんが、地域の皆様にはこのWEEK神山に気軽に普段着のままで出入りをしていただきたいと思っています。
鮎喰川を眼下に見て、東西に開けた開放的な空間。
「ここから眺める景色は最高に素晴らしい」と、遠くから来られた人たちから絶賛の声をお聞ききします。
みなさんにはWEEK神山の縁側に腰を掛けて、春は新緑の山々を眺めながら、夏は天の川の夜空を仰ぎ、また秋には中秋の名月を見ながら、くつろぎのひと時を過ごしていただきたいと思っています。
また、WEEK神山は地域のコミュニティの場として、地域の皆様にも役立ててもらうことが私の望みです。
ここに近隣の方々が気軽に寄り集まり、楽しく朗らかな井戸端会議のような縁側談義をしてもらえたらいいなぁと理想を描いています。
近隣の皆様や地域の方々のご協力により、この私の理想を実現していただきたいことをお願いして、私のご挨拶とさせていただきます。
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南さんはお父さんが作ってくれた家を離れてしまったけど、今こうしてお父さんの思いのこもった家を地域のために活かすことができて、本当にうれしそうでした。
南さんのスピーチからは「継ぐこと、繋ぐこと」ができた喜びがあふれてると感じました。
また、自分の生まれた土地から離れていても、地元に貢献できることをしっかりと見せてもらえた気がしました。
お父さんも本当に喜んでいると思います。
南さん、素敵なスピーチありがとうございました。
WEEK神山ホームページ http://www.week-kamiyama.jp
文/谷脇研児