えんがわトーク:ナカムラケンタさん【1】日本仕事百貨を始めるまで
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前回はNPO法人グリーンバレー理事長の大南さんと弊社会長の隅田へのインタビューでしたが、今回は求人サイト「日本仕事百貨」を運営する株式会社シゴトヒトのナカムラケンタさんに、えんがわオフィスの縁側で谷脇が話をうかがいました。
(えんがわオフィスの求人の取材に来たケンタさんに逆取材させてもらいました)
ケンタさん自身の仕事や働き方のこと、世の中の働き方の動向など、いろいろと聞いてみました。

<谷脇>
今日はよろしくお願いします。

<ナカムラ>
はい。よろしくお願いします。

<谷脇>
僕はプラットイーズに入社する前、東京に単身赴任していたんですね。それでうまいこと地元の徳島に帰りたいなぁと思ってモヤモヤしてるときにケンタさんに会って、ケンタさんの「生きるように働く」というキーワードに気付きをもらって、それから何度か話を聞きに行ったりしてたんですよね。

<ナカムラ>
そうですね。

<谷脇>
「ワーク・シフト」という本の出版イベント(2012/8/26)に行ったときに、野村恭彦さんの対談相手として初めて知ったんですよ。(当日の野村さんのブログ)
野村恭彦さんは、谷脇が参加していた勉強会に1度講師として来てくれていたんですよ。

<ナカムラ>
あぁ、青山ブックセンターでやりましたね。

<谷脇>
で、ケンタさんのことを知らない人もいるので、まずはどんな仕事をされているのか教えてください。

<ナカムラ>
僕の仕事は、求人サイト「日本仕事百貨」を運営すること。それに「シゴトヒト文庫」という出版レーベルも自分たちでやってますし、虎ノ門にリトル トーキョーという場所もgreenzと一緒に運営してます。
あといろんなプロジェクトが動いてたり、最近はグッドデザイン賞の審査員に選んでいただいたりとか、いろんなことやってますね。

<谷脇>
それを10歳の子どもに「お兄ちゃん、仕事何しているの?」と聞かれたら、
どんな感じに答えますかね?

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<ナカムラ>
そうですね。僕はいろんな生き方・働き方を紹介している、と答えますかね。
日本仕事百貨は求人サイトなんですけど、できるかぎり仕事のあるがままも伝えたいと思っているんです。給与とか勤務地とかそういう条件だけでは伝えられないものもあると思ってますし、いいことだけじゃなくて大変なこととか、働いている人の「思い」も聞いてみたり。現在だけじゃなくて過去や未来も知りたいですし、周辺にいる人の話も伺う。
実際に働いたときにどんなことが感じられるのか、職場を訪ねて・うかがって・それを文章にして紹介して。そんなことやってます。

<谷脇>
私は、(ケンタさんのイベント)奈良のシゴトヒト3days(2013年2月)にも行ったんですが、その「あきらめたヒト」の話のときに、ケンタさん自身も「建築家をあきらめて」という話を聞いたのですが、(以前は)建築家を目指していたんですよね。今はそうじゃない仕事をしているんですけど、どんな流れなんですか?

<ナカムラ>
経緯をお話しすると、元々は僕は親が転勤族なので、引っ越しが多くてですねぇ。
それで大体2年おきに引っ越しを繰り返していて、で、地元がないんですよね。

「地元がない」というのはどういう状態かというと、確かに実家はあるんですけど、実家のあるところに行っても、知ってる友達が周りに住んでるわけでもなく、なんかこう「帰ってきたなぁ」「ほっ」みたいな場所はないということなんです。だからそういう場所を持ちたいなぁ という思いがずっとあるんですね。

そういう自分の場所がないんだったら、自分で作るしかないという思いがあって、場所を作る仕事をしようと。それって一体なんだろうなぁと思ったときに考えたら、建築家なんじゃないかと思って。
(ストレッチしながら話すケンタさん)
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<谷脇>
学生のときに?

<ナカムラ>
そうそう、中学のときに。 中学・高校一貫校だったんですけど、中学のときに将来何をするかを考える合宿みたいなのがあったんですよ。

そのとき考えたのは、自分の居場所を作れたらおもしろいなぁっていう思いがあって、それで理系だったんで、ま、建築かなぁと思って、建築家を目指そうと漠然と。
建築ってなんかかっこいいし(笑)、イメージですけど、なんかいいだろうと。
すごい最初は簡単に考えて、それで建築学科に入ったんですよ。

建築学科で勉強していて、とても最初は楽しかったんですけど。
だんだん建築家でいいのかな? 将来建築家になるのが目的でいいのかな? とモヤモヤしてきたんです。

<谷脇>
大学生のときに?

<ナカムラ>
はい、大学生のときに。 基本、建築学科の課題っていうのは、最初は自由なんですね。
敷地も用途も自由なんですけど、だんだん敷地も用途も具体的になっていく。そうするとつまんないんですよ。

つまり、やることは基本的にデザインだけになっていって、その他のどういう場所でやるのか とか何をやるのか を考えなくなる。でも冷静に考えてみると建築家ってそういう役割ですからね。

<谷脇>
制約だらけですよね。

<ナカムラ>
はい。場所も用途もいろんなことがすでに決まっているところでデザインをしていくのが普通の建築家だと思って。これじゃいけないなぁと思ったんで、プロジェクトのもっとはじまりから関われるような仕事をしようと考えて、不動産の会社に入りました。

<谷脇>
ほぅ、そういう意味で不動産なんですね。
作る前の、何を作るかというところ。

<ナカムラ>
そうですね。 何を作るかというところを勉強したいし、作った後のことも勉強したいし、そういうことを勉強してやっと建築的なものも生きてきて、本当にいい場所が作れるんじゃないか、と思いました。
それで入社して働きはじめました。とてもおもしろかったんですけど、このままでいいのかなとモヤモヤしてしまって。

<谷脇>
それは何年かしてからですかね? 3〜4年?

<ナカムラ>
3年7ヶ月で辞めたんですが、1年目くらいからなんかモヤモヤしてたんですよ。
モヤモヤしてバーに週6日通うようになるんですね(笑)。
そのバーは当時は週1日定休日があったので(笑)、まぁ毎晩行ってて。
今でもよく行く、家から1分のところにあるんですよ。

<谷脇>
目黒でしたっけ?

<ナカムラ>
中目黒です。 その中目黒のバーにとてもよく行ってなんかモヤモヤしてたけど、そこに行くと落ち着くし、なんか気が楽になるんですよね。
それで、なんでそんなに通ってるんだろうなぁと思ったときに、食事やお酒もおいしいし内装も居心地がいいけど、結局はヒトだなと。
バーテンダーや常連客のみなさんに会いに行ってるんだなってことに気付いて、やっぱりいい場所というのはヒトが作ると。
ハードとかソフトよりもヒト。ハードもソフトも結局はヒトが作ってますしね。
そこにいるヒトがすごい大切なんだなという思いがあって。いい場所をつくるためにはヒトが欠かせない。だからヒトと場所をちゃんと結びつけられるような仕事をしたいなぁと思って。

<谷脇>
ほぅ、ヒトと場所をつなぐ。

<ナカムラ>
はい、それで求人サイトを始めようと思って。
日本仕事百貨につながっていきます。

(つづく)


えんがわトーク:ナカムラケンタさん
【1】日本仕事百貨を始めるまで
【2】いろんな生き方を伝える
【3】働き方の潮流
【4】失敗しよう