前回から始まった日本仕事百貨のナカムラケンタさんとのえんがわトーク、2回目は「しごとバー」や「文章」についての話になりました。
<谷脇>
このえんがわオフィスのブログのテーマが「つくる・のこす・ミライ」なんですけども、ケンタさんは今、何を作ってるんですかね?
<ナカムラ>
そうですね、世の中にはいろんな生き方や働き方があるっていうことを伝えるもの。
ひとことで言うと全部それに通じますね。
まぁ普通に生きていると、どんな生き方働き方があるのかってあまり知り得ないことが多いと思うんですが、僕らがやってる求人サイトや出版、あとは実際リアルな場所でやっている「しごとバー」なんかも含めてすべて「いろんな生き方働き方があることを伝えるなにか」を作っていますね。
<谷脇>
なるほど、その「しごとバー」はリトルトーキョーの一つの機能だと思いますが、そのリトルトーキョーを始めた経緯を教えてもらえますか。
<ナカムラ>
元々僕らのオフィスが青山にあって、なんか手狭になっていったんですね。
で、移転しなきゃなぁと思っていたときにgreenzも場所が欲しいということで一緒にやることになって、「元お寿司屋さんの建物と空き地と細長いビル」を貸してもらえることになって、オフィスだけでは広くてもったいないので、自分たちで使う以上のことを考え始めました。
<谷脇>
オフィスは2階とかにあるんでしたっけ?
<ナカムラ>
はい、3階とかにオフィスがあるんですが、他にもいろんな使い方を考えてみようということで、まぁいろんなことやりましたね。
リトルトーキョーという場所にして、そこは「市民」みたいなヒトたちが関わる場所だと。
その人たちは「普段はできないことをそこで試す」ことで自分の仕事を考える機会を作ったりだとか。
今はバーやカフェ・本屋さんもあるし、自分たちのオフィスもあるし、いろんなイベントも行われてます。
いろんなことを試行錯誤していく中で、オープンしてから半年以上たってからですね「しごとバー」が始まったのは。
元々僕はさっき話したようにバーが好きで(笑)、バーという場所で今の仕事を発見したようなものなので、自分でもバーやってみたいなぁと思ってバーのカウンターは作ったんですけど、いざオープンしてみてもそんなに人が来る訳でもなく。
やっぱりあの立地もあんまり良くないんですよね。
<谷脇>
ちょっと遠いんですかね。
<ナカムラ>
ちょっと遠いし、バーって繁華街にあるか、家の近くだと結構利用されると思うんですけど、やっぱりオフィスの近くのバーだとやっぱり落ち着かないと思うし。
<谷脇>
(笑)なるほどね。
<ナカムラ>
バーをやってみたけど人があんまり来ないので、なんか別のことをやらなきゃなと思ったんですね。
そこで思ったのが僕らは「いろんな生き方働き方を伝える」ていうのが根底に大きな目的としてあると。
で、その生き方働き方っていうのを、僕らはいろんな人に会って感じたことを文章にしているんですが、やっぱり文章にすることで失われてしまうものも結構あるなぁと思っていたんですね。
<谷脇>
なるほど。
<ナカムラ>
(文章だけでなく)実際に会うことで得られることも結構たくさんあるなぁと。
会うとしても一方的にトークショーみたいなので話を聞くものでもなく、なんとなく会話をすることでその人の人となりが見えてくるなぁと思って。
そういう(日本仕事百貨の)取材で経験できるようなものを、皆さんにも体験できるような場所にしたら面白そうだなと。
<谷脇>
なるほど。取材の感じをそのままみんなで体験できる。
<ナカムラ>
はい。 やっぱり言葉にならない部分にもいろんな情報が含まれていて、そういうのはもちろん文字にすることも多少はできるんでしょうけど、実際会って直接話してもらうのが一番いいなぁと思っていて。
それで「しごとバー」には、一日バーテンダーとしていろんな生き方働き方の人に来てもらうことにしました。で、いろんな人にざっくばらんにお酒を飲みながら話して欲しいなと。
まぁトークショー的なことをやりたい方がいたらそれもできますし、ワークショップにしてもいいし、実際に一日バーテンダーていう名前の通りにバーテンダーをやりたいっていう人もいますし、まぁ基本的には一日バーテンダーっていうのは一日警察署長みたいなものですかね(笑)。
<谷脇>
(笑)はいはい。
<ナカムラ>
ただ制服着てね、テープカットするくらいの(笑)。実際の警察署長の業務ていうのはやらないと思うんですけど。
まぁ「しごとバー」の一日バーテンダーも一緒で、ほんとに気楽に話をしてもいいし何してもいい。
そうすることで、コミュニケーションも一方的でなくできるでしょうから、よりその人の人となりみたいなものが伝わるんじゃないかなと思って。
それで「しごとバー」っていうのを始めたら、意外と好評でした。
<谷脇>
賑わってますね。
<ナカムラ>
はい。
<谷脇>
やっぱりいろんな生き方を伝えるっていうメインの部分をより伝えるというか情報を増やすというか、文字だけじゃなくって実際に会ってお互いに会話をしてもらう場 を作ったんですね。
<ナカムラ>
そうですね。話すとわかることが多いですね。
<谷脇>
そりゃそうですよね。文章は重要ですけど、確かに文章から漏れて行くものはいっぱいありますもんね。
<ナカムラ>
そうですね。
<谷脇>
その文章ですけど、ナカムラケンタさんは元々文章を書いてたんですか?
<ナカムラ>
全然書いてないですね。
ブログとか書いてたり、会社の懸賞論文みたいなのでは、内容はともかく文章はおもしろいって表彰されましたけど(笑)。
でも特に何かをやっていたというのはないですね。
なので、文章を書くことは努力っていうか、やりながら勉強していきました。
<谷脇>
なるほど。(文章の勉強を)やってから始めたんではなくて、やりながら。
<ナカムラ>
やりながらですね。
最初ある方からは「これでお金もらうのはダメだ!」なんて言われたりしましたしね。
でも、確かにその通りだなぁって今は思います。
そりゃもう最初は試行錯誤しながら、ちょっとずつ文章力をアップしていった感じです。
<谷脇>
「伝わる文章」って、思ったように書けるようになるんですか?
僕は今、うまいこと書けないんですが(笑)。
どう書いてもなんかしっくり来ないなぁっていうのがあるんですが。
<ナカムラ>
テクニカルな部分も多少あるんでしょうけど、基本的には「読み手を想像して書く」ということが一番大切だと思っています。
読み手がわからないこととか、ストレスに感じることをなくすようにする。
わかりやすくするとか、不安に思うところを消していくとか、ひたすらそれですね。
読み手が初めてこの文章を読んだらどう思うのかっていうのをただひたすら想像するんです。
(つづく)
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えんがわトーク:ナカムラケンタさん
【1】日本仕事百貨を始めるまで
【2】いろんな生き方を伝える
【3】働き方の潮流
【4】失敗しよう