日本仕事百貨のナカムラケンタさんとのえんがわトーク、いよいよ最終回の4回目となりました。最後に今のケンタさん自身についてなど、あれこれと聞いてみました。
(【1】【2】【3】と併せてお楽しみください。)
<谷脇>
ケンタさん自身の座右の銘みたいなものはあるんですか?
そんなガチガチのものじゃなくても、何かあったときに問いかけることとか。
<ナカムラ>
「自分に正直に」ですね。
ほんとに「自由に」「自分に正直に」ていうのを一番大切にしています。
昔は「自分に正直に考える」ことができなくて、自分がいったい何を欲しているのかがよくわかんなかったんです。でも、今はもう自分の求めてるものがだいたいわかります。
選択肢があったらどっちなのかというのがわかるようになりました。
そういう意味では、それをちゃんと続けていきたいですね。
<谷脇>
「自分が欲しいものが前はわからなかったけど今はわかる」ということは一段上がったと思うんですけど、何かキッカケがあるんですか?
<ナカムラ>
ま、自分の欲しいものってないんですよ。
それはもう縁とタイミングだと思うし、あんまり前もって計画するタイプではないので。
ただ目の前に来たもののどっちがいいかがすんなり選べるようになったと思います。
それがわかるようになったのは、いろんな経験をしてきたからでしょうね。
こっちやってみたらうまくいった、こっちやってみたら意外とダメだったっていう「失敗」も含めて繰り返すと、自分が本当に必要なものがより理解できます。
そういうことなしに、なんか正しい事=正解ばかりを選んでやっていると、自分の価値観がわからないまま終わっちゃうと思うんです。
だからキッカケというのは、失敗したことでしょうね、いろいろと。
<谷脇>
なるほど。失敗することでより自分のこと、やりたいことがわかってくると。
<ナカムラ>
そうですね。例えばこういうのをやりたいと思ったけど、実際やってみると意外とやりたいもんじゃなかったなってわかると思うんですよ。
特に若いときって華やかな仕事を目指したいものですけど、仕事ってどんなものも大変なわけで、実際にやってみると「やっぱなんか違うな」っていうが実感を伴ってわかると思うんです。
やっぱり実際にやってみることでわかることが多いですね。
<谷脇>
このブログのテーマ「つくる・のこす・ミライ」の、今度は「のこす」について。
なんか残したいものってありますか?
<ナカムラ>
なんだろう。。。残したいもの。。。
残したいものって、そんなにないのかなぁ。。。
けっこう僕は、あきらめもすんなりするタイプですし、なるようにしかならないっていう感覚なので、残ったら残ったでいいし残らなかったらしょうがないねっていう感じですね。
どんなものも終わりをむかえるっていうのは感覚としてあるんです。人もそうですしね。
残んなきゃいけないっていうのはあんまりないですね。
絶対に残さなきゃいけない!っていうのはほんとにね。
諸行無常な感じ、それが自然なので。
残ったらいいし、残らなかったらしょうがないねっていう感じですね。
<谷脇>
いま一番楽しいことはなんですか? 一番楽しい時間は?
<ナカムラ>
バーで飲んでる時間が一番楽しいかなぁ。
話を聞く時間が一番おもしろいですねぇ。
あと、僕は話をするよりは聞く方が好きです。
<谷脇>
そうなんですね。
しごとバーでも自分自身で立つ事もありますよね?
<ナカムラ>
自分で立つよりは立ってもらう方がいいですね(笑)。
<谷脇>
(笑)
<ナカムラ>
人の話を聞いたりだとかが一番楽しいのかなぁ。。。
ま、飲んでるときとか。
<谷脇>
今もバーは毎日?
<ナカムラ>
いやーよく行きます。
あんまり未来ばかり考えてる訳でもなく、過去にとらわれてない状態が僕は一番好きで、今っていう状態をとことん楽しむみたいな。
バーってそういう時間が過ごしやすいですし、そういうのが一番楽しいですね。
<谷脇>
今、思っている夢はありますか?
<ナカムラ>
え、夢! ないんですよね、あんまり。計画もしないし。
あ、妄想はしますけどね。妄想はしますけど、あんまりそれを絶対にしなきゃいけないとは思わなくて。
ほんとに、今この楽しい時間をちゃんと楽しむということですね。
もちろん責任を持たなきゃいけない故の楽しさだと思うけど、自由な感じがする状態をちゃんと真摯に続けていったら、おのずと楽しんじゃないかなーと思います。
だからあんまり未来はこうしようああしようというのは考えてないですね。
いろんなタイミングとか縁で変わっていくものだと思うし。
この先もそういう感じで、そのときそのときを楽しめるだろうという予感はあります。
<谷脇>
最近妄想した事ってなんかありますか?
日本仕事百貨とかしごとバーとかリトルトーキョーで、こんなことやろうかなぁみたいな。
<ナカムラ>
場所を次はどこにしようかって考える機会はあって、今は銭湯を借りていろいろやりたいと思っています。
でもそれも縁なんで、たまたま巡り会った物件でいい物件があったら、別に銭湯でなくてもいいのかもしれないですけどね。
ただ、銭湯って日本に元々あるコミュニティスペースだし、気持ちいい空間なんで、あれをちゃんと活かしておもしろい場所が作れたらいいなぁという思いはあります。
(補足:このインタビューの後で、リトルトーキョーは今年9月いっぱいで終了・移転することがケンタさんから公表されました。)
<谷脇>
ちょうどね、徳島だと美波町のね。
あれ、かっちょいいですよね。
<ナカムラ>
「あわえ」さんの初音湯!
あそこはもうそもそもかっこいいですね、銭湯が。
それで、あの使い方はもう理想ですね。
(補足:徳島県美波町の「株式会社あわえ」さんは、元銭湯「初音湯」を改装して利用しています。 )
<谷脇>
あんな子ども(えんがわオフィスに近所の小学校2年の女の子が遊びに来ていた)たちに伝えたいことってありますか?
<ナカムラ>
いろんなことをやってみた方がいいと思いますね。頭で考えるよりも、まずは。
でも、子どもにそんなこと言ってもわからないでしょうから、いろんなことを経験できるような機会を作るのが大人の役割だと思います。
<谷脇>
やったらええんちゃうん。ってことですね。
<ナカムラ>
そうそう、そうですね。
失敗してもらいたいですね。
<谷脇>
あぁ、そうですね。
失敗が一番の経験ですもんね。
<谷脇>
この前、ある大学に会社説明に行ったときに学生と話す機会があって、就活生って大変だなぁって思ったんですが、就活生に向けてアドバイスってありますか?
<ナカムラ>
普通にみんながやるような就職活動だけしかないと思わないでほしいな。
こんなのやっちゃダメかなっていうのも含めて、とにかくやってみることですかね。
それで上手くいかないこともあるかも知れないけど、こうあるべきだというのを考え過ぎずにいろんなことをやってみる。「○○するべき」から離れてみる。
うまくいかなくてもそれはいい経験になると思うんで。
<谷脇>
そうですよね。ほんとに。
<ナカムラ>
ハイ。
<谷脇>
インタビューはこんな感じで終わりです。
<ナカムラ>
これでいいですか! 疲れますね、話しするのって。
聞く方がまだいいんですけど(笑)。
<谷脇>
ありがとうございました!
<ナカムラ>
いえいえ、ありがとうございました。
(おわり)
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えんがわトーク:ナカムラケンタさん
【1】日本仕事百貨を始めるまで
【2】いろんな生き方を伝える
【3】働き方の潮流
【4】失敗しよう