これまで3回(【1】【2】【3】)に続き、今回は「のこす」について、NPO法人グリーンバレー理事長の大南信也さんと株式会社プラットイーズ会長の隅田徹の2人に、えんがわオフィス広報担当の谷脇が聞きました。
(大南さんの敬称はタイトル・本文の一部で省略させていただきます)
<たにわき>
一方で「のこす」話ですけども、
神山町というかグリーンバレーさんは何を残そうとしてるんですかね?
<大南>
まぁ、抽象的やけども「場」なんだろうな。
今の神山のような場をそのまま残しておけば、自然とそこで人がいろいろ回遊してきたり循環したりして、新しいことが起こっていくんかな みたいなイメージあるんで。
まぁ今進んどる方向っていい方向に進んどると思とって、今の状態っていうのをそのまま持続できるように、適度に人間をまたよそからも来てもらってみたいな形のこの「場」なんだろうな。うんうん。
<たにわき>
それをうかがって、隅田さんはどうですか?
<スミタ>
まぁその、人ね。 人主義というか人が中心で という考え方はもう同じやね。
そうしたら、その人たちが交差する場が必要。そこから新しいことが生まれるからね。
その予測不能な展開をしていくところも面白いよね。計画それよりも人やから。
そういう今の(神山の)感じが残っていったらいいね。残していけたら。
<たにわき>
この神山の「なんかできそう」「なんか受け入れてくれそう」っていう雰囲気ってすごいと思うんですけど、どうやってこの雰囲気を作ったんですか?
<大南>
作ったっていうかやっとることは結構単純で、「枠をとっぱらう」ということやと思うんよ、今神山でやりよることっていうのは。
普通の地方とかよその場所へ行ったら、若い子らが「こんなことやりたい」って来たら
その時点で止めるんよ。「ほれやられたら困る」って止めるんよな。
で、それは何かっていうたら、新しいものへの恐怖心とか、もう一個は、やっぱり枠を作っとると思うんよ、その止める方の人間が。
で、何で枠できるんかいうたら、多分10年も20年も前に一回痛い目をしたと、そのこと自体が今は問題にならんのに、それがトラウマになって残っとって、それが一つの枠を作っとって「いやこれ枠に合わんから、やられたら困る」と止めると思うんよな。
ところが、神山の面白いところは、ここで止めんのんよな。
「あんたが言よること、僕らもどういうことかハッキリ分からん」と、
「ほな、わからんから、わかるように一回やって!」ていうところやと思うんよ。
これをやらせるから、枠にとらわれんもんがそこで出来上がる。
でもしやった後でどうしても調子悪かったら、ここでは止めるよ っていうところで、
止めるタイミングっていうのが、ワンテンポよそより後ろにズラしとると思うんよ。
枠の中でものごとを作ろうと思うたら、枠の大きさのもんしかできんと僕思っとって。
それをとっぱろうたら枠にとらわれんもんができて、ほれが多分イノベーションていう話やと思うんよ。
で、ほれは「日本の地方だけの問題」でなくて、「日本の問題」やと思うんよ。
枠で考えすぎたら、日本でなかなかイノベーションが起こらんっていうのは、そういうようなことやと思うんよ。
自分らで枠をみんなが作っとって、ほんで止めてしまうと。
もうちょっと自由に動ける場を作った方がええよな。どう考えても。
<たにわき>
それは、グリーンバレーをやってる最初からそう思ってたんですか?
<大南>
いやいや。でも根本的に持っとる考え方はそうやな。
自分らをあんまり過信せんていうか、「おれらは全て知っとんや」みたいなおごりはみんな持ってないでぇ。誰に会うても。
ほやけど、「ん?おもしろそうなな!」っていう「ヒラヒラッ!」ってするような感覚は、結構持っとう人間が多うて(笑)。
<たにわき>
そこが神山のすごいところですよねー。
元気ないい感じのおっちゃんらがおって、何でも受け止めてくれるっていう。
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「のこす」という話題で、大南さんから出た「枠をとっぱらう」ということ。
確かに、どの地域でも枠を作ってしまっている大人が変化を拒むことで、衰退していくパターンが多いでしょうね。
イノベーションが起こらない。確かにこれは国のレベルでも同じですね。
今の神山は、例え失敗してもチャレンジ自体をおもしろがる大人がいっぱいいるということだと思います。
まさに「やったらええんちゃうん」ですよね。
で、今後は逆に地方から国を変えていくという動きになっていくのではないでしょうか。
さて、いよいよ次回は最終回。
お二人に今回のまとめ的に伝えたいメッセージなどをうかがいます。
お楽しみに。
谷脇研児
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大南・隅田ご近所トーク
【1】えんがわオフィス誕生秘話~出会い編~
【2】えんがわオフィス誕生秘話~誕生編~
【3】神山メーカーズスクールとUターン
【4】枠をとっぱらった場 を残していく
【5】やったらええんちゃうん→未来に繋がる今を楽しむ