えんがわトーク:ナカムラケンタさん【3】働き方の潮流
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日本仕事百貨のナカムラケンタさんとのえんがわトーク、3回目はこれまでとこれからの働き方の変化について聞いてみました。
【1】【2】と併せてお楽しみください。)

<谷脇>
ケンタさんは、日本仕事百貨で人の生き方というか仕事を伝えてきてるんですけど、始めてからこれまでで「働き方」がこんな風に変わってきてるなって感じるものはありますか?

<ナカムラ>
そうですね、まず仕事っていうのが細かく役割分担するものから、だんだん一人でやれる範囲がすごく広がってきているのは実感しますね。

<谷脇>
うんうん。

<ナカムラ>
単純にパソコンがある時代となかった時代では役割は違ってくるでしょうけど、一人ひとりが見通す範囲が確実に広がってきています。
例えば、何かをデザインするときにいろんな役割分担があったのが、いまはもう一人で全部をデザインできたり、いろんな役割を兼ねることもできるようになっています。それは技術的な部分の向上がもっとも寄与していると思うんですが。

そうやって一人であらゆることを担当できるほうが精度が上がることってたくさんあると思うんです。逆に役割分担しちゃうと下がってしまうこともある。なぜならコミュニケーションを介さなくてはいけないから。でもひとりの頭のなかで考えるだけならば、いちいち言語化する必要もないわけです。
コミュニケーションの精度を高めていくことはできるんでしょうけど、全部一人の頭の中に入っているといろんなことが深く思考できます。集合知、というようにいろんな人が集まったらいいものができるという考え方もありますが、僕は一人の頭で考えて、その人が全部アウトプットできるならそっちのほうがいいものができると思っています。

今はそういう仕事が多くなってきてますね。
一人の担当者がいろんな領域を横断して、ものを考えていくという感じの仕事が増えているし、そういうのは人気もある。革新的なことを行っている組織や事業には、すべてを俯瞰できる人がいるんです。

例えば、テレビの放送もそうだと思うんですけど、昔はこういう(プラットイーズ社が開発している)営放システムみたいなものがない時代もあった訳ですよね。
そのときは多分、たくさんの人手をかけて役割分担して対応していたと思うんですけど、今はシステムを利用してある程度一人でできることが増えていたり、その分新しい事ができるようになってきていると思うんです。

それは他分野でも一緒で、例えば僕がやってた建築でも建築家のイメージも今と昔ではだいぶ変わってきています。
昔は本当に設計することが建築家の役割だったと思うけど、今はそれだけじゃけっこう厳しくて、いろんなことをしなきゃいけない。具体的には図面を書くだけじゃなくて、ソフトもコミュニケーションもあらゆることをデザインする人が増えている。だからこそそれまで縦割りで分断していたことがつながって、より創造的なことが生まれている。「デザインの意味」がすごく広くなってきていると思いますね。

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<谷脇>
今のケンタさんには、建築家の勉強をしていたことがきっと活きていると思うんですけど、こんなところに活きてるなぁとかありますか?

<ナカムラ>
日本仕事百貨の仕事も、今までの仕事としてあまりないようなもので、webもあるし、デザイン的なものもあるし、編集的な力も必要だし、もちろん経営というか事業をちゃんと遂行していく力も必要だし、あらゆる力・能力が必要です。

建築というものも元々総合芸術と言われているもので、デザインもしないといけないし、構造などの数字もわからないといけないし、プレゼンする機会もある。あらゆることを求められてはいる仕事なので、建築の経験は活きていると思います。

<谷脇>
やっぱりいろんなものがつながって、(やったことがあとで)活きてくるもんなんですね。

<ナカムラ>
そうですね。(学んだことが)つながって活きてるんですね。

<谷脇>
今、一人のやれることがいっぱい増えてきたという仕事の流れなんですけど、日本仕事百貨でいろんな仕事を伝えていて、この先こんな風になるんじゃないかというのはありますか?

<ナカムラ>
そうですね、テクノロジーの進化によって人が要らなくなることが増えていくと思うんですよ。
それは今に始まったことじゃなく、昔からそういうもので、例えば昔は農業・漁業・林業とかの一次産業で働いていた人がほとんどだった時代があったけども、今はそれで働いている人ってごく一部になった。それでもちゃんと世の中は回っていて、みんな生きていけるような状況になってますよね。
この先はそんなことが加速して、仕事もだいぶ変わっていくと思います。
人の頭の中で考えるような仕事は残るでしょうし、あとは人という存在が活きる仕事は残っていくと思います。

頭を使う仕事のひとつは、さっきのいろんな領域を横断する仕事ですね。
どんなにテクノロジーが発達してロボットのできることが増えても、人間の頭で考えられるものってまだまだ大きいと思うんです。

例えばiPhoneのSiriがだいぶ進化してきて、日本語で話しかけるとほぼ100%日本語を認識してくれるんです。
でも、日本語の認識する力はあっても、会話したり編集する能力はまだ十分ではない。
いろんな領域を結びつけて、それをアウトプットするような能力はやっぱりまだまだ人間に求められるのかなと。
単純作業はどんどんロボットがやるようになってね。

あとは物理的に人の存在が必要な仕事。
例えば、バーテンダーのように顔と顔を合わせるようなことに価値がある仕事とか、あとは手作りだからこそその良さがわかる仕事とか、そんなものは残っていくと思うんですよね。
でもそれ以外の仕事はやっぱりどんどん人間の役割は減っていくと思います。
その分新しい役割もたくさん生まれるとは思いますけど。

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<谷脇>
今、価値観含めていろいろと変わっていってる気はしてるんですが、仕事という面で、例えばこの法律があるからうまく(進んで)いってないなぁとか、ブレーキみたいになってるようなものって何か感じていますか?

<ナカムラ>
んー、なんでしょうね。。。
ブレーキ。。。

<谷脇>
法律でなくてもいいんです。
何かブレーキみたいなものがあるのかなぁと。

<ナカムラ>
さっきの話でいうと、今の教育的なものっていうのは比較的ロボットに代わられてしまうような部分を伸ばす教育が多いですね。
同じことをちゃんと正確にやるっていうことは、人の頭を使っているものもあるんでしょうけど、それってロボットとかテクノロジーによって代わりが効くような頭の使い方です。
これからは、頭を使う仕事、物理的に存在が必要とされる仕事が残ると思いますが、その前者の頭を使う仕事では、答えがないことを考えなきゃいけない

そういうような仕事をやっていくとなると、やっぱり「答えが明確にあるような教育」以外のものも必要だとは思っています。

人の存在が必要とされる仕事については、すでにあるものも多いしなんとなく理解しやすいでしょうけど、ゼロから物事を考えて何かを生み出すっていうのは、もっと求められるようになると思います。

<谷脇>
そうですね。

<ナカムラ>
(ゼロから物事を考えて、何かを生み出すような)そういうことはもっとやった方がいいと思いますね。

<谷脇>
そうですね。教育自体もそうだし、経験自体もね。
ゼロからイチを生み出している人をもっと知るっていうかね。

子供の夢って「知ってる範囲」で見ますよね。ロールモデルがある程度見えてる範囲、知ってる範囲で夢を見るんだから、それを広げてやったら夢がもっと広がる訳で。
日本仕事百貨のやっている、お仕事のバリエーションやいろんな生き方を伝えるっていうことは、本当に子供にも必要で、こんな生き方があるんだっていうのを知る事で、夢の範囲が広がって、人の可能性がどんどん広がるイメージがあるので、教育も含めてそういうのを体験していって欲しいと感じますね。

<ナカムラ>
そうですね。
ほんとそう思うんですよね。それをやらないと。

(つづく)


えんがわトーク:ナカムラケンタさん
【1】日本仕事百貨を始めるまで
【2】いろんな生き方を伝える
【3】働き方の潮流
【4】失敗しよう